湘南鉄道をおりて
釈 迢空
昼澄みて 空も海色ー。
ちしや白く花を垂れたり。 浦賀の辻に
岸波に ひたひた 寄せて漕ぎ返す
舟は、 用なく帰り行くらし
海の青 ひたすら青し、波のほに
繋げる船は、 揺れにゆれつつ
「遠やまひこ」
大正2年3月 三浦半島をめぐる
その折の歌21首のうち
古き入江・浦賀にて
前田夕暮
ひたひたと ひたひたと 浪 夜もすがら
古き入江に鳴るは悲しも
大正3年「生くる日に」
対岸の 古き家並に 日が照れり
よごれし旗の 風になびける
蹌踉として 人は歩めり うすくらき
入江の添へる 陰影おほき町
大正3年「生くる日に」
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